泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

ちっぽけなプライド

「ちょっと、このメール見てくださいよ!」
と、隣の同僚が話しかけてきた。
メールには
「今回の件は、こちらで処理してあげましたが、次回からはよろしくお願いします。」
と文末に書いてあった。

「こちらで処理してあげましたって、絶対、バカにしてますよね!そもそもこの件は向こうの部署が処理する案件なのに!」
と同僚は言った。適当に相槌をうっていると、何度も
「バカにしやがって」と怒っていた。

人には2種類いる。バカにされることに敏感な人と、鈍感な人。
敏感な人は、「バカにされた」「なめられた」「プライドが傷ついた」
と、よく言っている。自分には無い感覚なので、観察してみると
自分より立場が下や弱い人に、上から目線で言われると、上の言葉を言い出す。

「別に相手はそんなこと思ってないと思うよ」
と言っても、
「いや、絶対そう、絶対バカにしている」と火に油を注いだように怒りだす。
事実の先にある感情を、勝手に想像して絶対そうだと思いこむ。
こうなると、手がつけられない。

半蔵門の出版会社に勤めていた時は、社長からして、そんな人ばっかりだった。
「後から入ってきて、俺たちの仕事が遅いとバカにしているんだろう!」
いやいや、仕事の改善をして、効率よく出来るようにしただけ

「女性と話してた時、俺のことみてバカにしてただろう!」
いやいや、あなたの先の上司に相談してみれば?とアドバイスしてただけ

「転職なんかしやがって、こんな会社に残っている俺たちのことバカにしてるんだろ!」
いやいや、生活ができないから転職するだけ

体育会系の人も同じように言い出す人が多い気がする。
事実の先に感情なんてないのに、勝手に思い込んでなめられた!と言い出す。
そもそも仕事に感情なんて入れていたら、そっちの方がやってられない。

小説などは、書かれている事の先にある主人公たちの感情を読み取ることで感動が生まれる。心の中なんて本人にもわからないのに、他人にわかるはずがない。
それなのに、自分の想像で思い込んで感情をぶつけても、周りが迷惑するだけにしかならない。

同僚には「次からは見返せるように仕事をすればいいんじゃない?」
と適当に言い、自分の仕事に戻った。