泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

【映画】 羊の木 ちょっとだけネタバレ

 

【あらすじ】

さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。
市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。
一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。
やがて月末は驚愕の事実を知る。
「彼らは全員、元殺人犯」。
それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。
ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、
小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める・・・。

 

映画『羊の木』 | 2018年2月3日(土)全国ロードショー

 

漫画が原作ですが、殺人を犯した元受刑者を街が保証して仮釈放し、住人になるというところやののろ祭りの設定ぐらいしか関連がありません。

漫画の原作の方は、密かに勧められている元受刑者定住化計画のスキャンダルと元受刑者たちの騒動が中心ですが、映画は世話役と元受刑者との関係、他の元受刑者たちがどのように住人に受け入れられていくのかが焦点になっています。

 

この映画は、海外では評価が高くいろいろな賞を取っていますが、日本ではさっぱりの評価でした。その原因を考えてみると、日本人とキリスト教との罪の意識の差が浮き彫りになってきます。

 

日本人にとっての罪、キリスト教での罪


キリスト教もいろいろな宗派がありますが、基本的な考え方は「人は生まれながらに罪を背負っている。だからキリストに許しを乞う」です。

それに対して、日本人の考え方は「罪を侵さないように生きる」です。犯してしまった罪は穢となってずっとつきまといます。スキャンダルを起こした芸能人を魔女裁判のように祭り上げ、いつまでもレッテルを貼り続けるのはその典型です。そのため罪を犯すことを極端に恐れ、結果世界で一番礼儀正しい国となっています。見かけ上は。

 

キリスト教の場合、人は全てにおいて罪を背負った状態から生まれてくるので一度の罪でも、そこから許され更生することが当たり前との考え方です。(洗礼によって許される)

映画評の中で日本人らしいなと思ったのは 「ある受刑者が罪を償っているのに他の受刑者が住民に受け入れられ幸せになるのが許せない」 とありました。

元受刑者が幸せに更生するに対し、罪人は幸せになることを認めないという考え方が根底にあるのが見え隠れします。

 

元受刑者が受け入れられ希望あるエピソードを評価するキリスト圏と罪を許せない日本人とでこの映画の評価が別れたと考えられます。



この辺の考え方は、日本で流行っている野球とキリスト圏で流行っているサッカーの違いにも当てはまります。サッカーは試合中ミスの連続です。パスミス、シュートミス、判断ミス、90分間の殆どがミスばかりです。それでも少しの成功が得点になり勝利に繋がります。ミス前提のゲーム。

それに対し、野球はミスしてはいけないスポーツです。コントールミスで四球をあたえる、ヒットを打たれる、エラーをして点を取られる。敗因となったミスは徹底的に叩かれます。ひたむきにミスをしないように。ミスを恐れる日本人向き。

 

そんなことを映画を見ながら考えました。

 

 

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