泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

【読書】 オリエント急行殺人事件/アガサ・クリスティ著

 

初めてアガサ・クリスティの本を読んだのは「オリエント急行殺人事件」だった。多分中学2年の頃。その時の単行本をまだ持っている。

 

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1974年に映画化され、その時のワンシーンが表紙になっている。早川書房ではなく新潮文庫なのがマニアック。奥付けを見ると昭和58年なので大体読んだときの同じぐらい。

 

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34年前の本がまだ手元にあるくらい、この本はお気に入り。中学生の時初めて読んだときの衝撃は、いまだに覚えていてこの本がきっかけでアガサ・クリスティにハマり、エラリー・クイーンやその他の古典に傾倒していった。

 

中学生の頭で、必死に犯人を考えワクワクしながらページをめくり、そのトリックにびっくりした。その後何度も前に戻って読み直して、ああそいうことだったのかと納得し、クリスティのマジックにすっかり騙されてしまった。それからクリスティの本を読破していくのだが、ミス・マープルのように人間観察と会話からその人の裏を考えたり、事柄を客観的に見たりするのができるようになったのは、思春期にクリスティに出会ったおかげだと思っている。

 

今日から「オリエント急行殺人事件」の映画が公開されるということで、34年ぶりに読み返してみた。トリックが分かっていても、キャラクターと会話だけで読み進められるおもしろさ。中学生のときと違うのは、子供を持つ親となったことでアームストロング事件の悲しさが身にしみてわかるようになり、ラストの感動が一段と深まったことだ。ポワロの優しさに思わず涙。

 

クリスティはトリックもすごいけれども普通の小説としての面白さも別格で、いろいろな人生の山谷を超えた時に読むと、より感動が増す気がする。

 

まだ未読の人は幸せ。外人の名前が覚えられなくても、キャラクターがしっかりしているのですぐにわかるようになり、あっという間にあなたもクリスティの魔法にかかっていくだろう。冬の夜長にミステリィの傑作を是非。

 

 

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)