泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

【読書】 「野獣死すべし」大藪 春彦 著

 

大藪 春彦の「野獣死すべし」を読みました。大変古い小説で日本初のハードボイルド小説と言われています。

 

【あらすじ】

敗戦で満洲から引揚げた伊達邦彦少年は、大戦の惨害に人間性の根底まで蹂躙され、大学生の頃には計算しつくされた完全犯罪を夢見るようになる。大学入学金の強奪に成功した彼は、戦時中父の会社を乗っ取った京急コンツェルンに対し執拗な復讐を開始する。怜悧な頭脳、端正な容貌と猛獣のような体躯を持つ非情の男伊達邦彦を描くハードボイルド小説の傑作。大藪春彦のデビュー作となる正編に加え、「週刊新潮」に連載された続編となる復讐編を収める。 

 

 

野獣死すべし(新潮文庫)

野獣死すべし(新潮文庫)

 

 

レビューを読むと懐かしいとか、青春の金字塔とかの文字が踊っています。映画になっているので名前だけ知っている人がいるかも知れません。

仲代達矢主演の1959年版、松田優作主演の1980年版。1980年版は松田優作が10kg減量し奥歯を4本抜いたエピソードが有名です。ただこちらの映画は原作とかなり違っているようです。

 

原作は、主人公の伊達に共感が持てず読んでいて面白さがあまりなかったです。目的のために恋人や友を殺していきます。共産主義に傾倒する描写は初めの頃にあるだけで、社会に対しての不満や何者でもないとい若者独特の焦燥感はうまく書かれていません。

 

結局は金のために友を裏切り、人を殺していくだけで復讐篇の方で親の仇うちという大義名分が出てきますがその理由も首を傾げます。初めてハードボイルド小説を読んだ人には衝撃だったかもしれませんが、今更感がいなめません。

 

なので星一つ。