泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

【書評】 あなたを、ほんとに好きだった。/内藤みか

 

内藤みかの「あなたを、ほんとに好きだった。」を読んだ

時代背景が1990年代前半で 主人公と僕が同年代のせいか
その時の雰囲気がリアルタイムで伝わってきた

大学生の加季は 大学に行きながらライターのスクールに通っている
寮には なにもせずただブラブラとしている生徒がたくさんいて
惰性に流されている生活をしている
そんな中 誰も使っていなかった209号室に 突如として
カフェができた ヒロ君がみんなを喜ばせるために 作ったのだ
ヒロ君の手伝いをしているうちに 加季はだんだんとヒロ君に惹かれていく
しかし 彼には自殺未遂をした彼女がいた
「加季は寮の中の彼女だよ」とヒロ君がいう
私はそれだけで満足だった・・・・

小説の冒頭に ピチカートファイブの「スウィート・ソウル・レヴュー」
が思い出の曲として出てくる 電車からのぞく川辺では カップルがキスをしている

この小説は 村上春樹の「ノルウェーの森」のトリビュートらしい
冒頭の構成からして なるほどな と思う
ビートルズの「ノルウェーの森」に対して 
ピチカートファイブの「スウィート・ソウル・レヴュー」
これだけで 気に入ってしまった

物語は 恋をしている人が誰もが通る 恋愛の歓喜と悲哀が綴られている
それが90年代の雰囲気とマッチして 僕の気持ちをその時代へ誘う
読み終わった後にため息が出た それはノスタルジックな想いと
失ったものへの 悲しみかもしれない

 

 

あなたを、ほんとに好きだった。 (ダ・ヴィンチ・ブックス)

あなたを、ほんとに好きだった。 (ダ・ヴィンチ・ブックス)