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泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

【読書】 「悪魔の手毬唄」 横溝正史

 

横溝正史著、「悪魔の手毬唄」を読んだ。
中学時代からミステリーが好きで本ばかり読んでいたが、海外ミステリーばかりで、日本のミステリー小説は、赤川次郎以外ほとんど読んだことがなかった。
最近になって、老眼になり文庫本の小さい文字が読みづらくなってきたため、いつかと思っていた文庫本を読み始めている。

 

横溝正史といえば「八つ墓村」「本陣殺人事件」「獄門島」などが有名だが、映画の影響もあり「悪魔の手毬唄」もなかなか評判が高い。

 

あらすじ

 

岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。たまたまここを訪れた金田一耕助は、村に昔から伝わる手毬唄の歌詞どおりに、死体が異様な構図をとらされた殺人事件に遭遇した。現場に残された不思議な暗号はいったい何を表しているのか? 事件の真相を探るうちに、二十年前に迷宮入りになった事件が妖しく浮かび上がってくるが……。戦慄のメロディが予告する連続異常殺人に金田一耕助が挑戦する本格推理の白眉!

 

 

悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄

 

 



本作は、鬼首村に昔から伝わる手まり歌にそって殺人が行われる童謡殺人で、同じような手法としてアガサ・クリスティのマザーグースを元にした話がある。

 

この小説の舞台となる、鬼首村に伝わる手鞠歌は

 

うちのうらのせんざいに 雀が三羽止まって
一番目のすずめの言うことにゃ 言うことにゃ
おらが在所の陣やの殿さん 鞠好き 酒好き 女好き
わけても好きなは 女でござる
女誰がよい 升屋の娘 升屋器量よし蟒蛇娘
升で量って 漏斗で飲んで 日がな一日酒浸り 酒浸り
酒が足らぬとて かえされた

うちのうらのせんざいに 雀が三羽止まって
二番目の雀の言うことにゃ 言うことにゃ
おらが在所の陣屋の殿さん 狩り好き 酒好き 女好き
わけても好きなは 女でござる
女誰がよい 秤屋の娘 秤屋器量よし 爪長娘
大判小判を秤にかけて 日なし勘定に夜もふけて 夜もふけて
寝る間もないとて かえされた

うちのうらのせんざいに 雀が三羽止まって
三番目の雀の言うことにゃ 言うことにゃ
おらが在所の陣屋の殿さん 狩り好き 酒好き 女好き
わけても好きなは 女でござる
女誰がよい 錠前屋の娘 錠前屋器量よし 小町でござる
小町娘の錠前がくるた 錠前狂えば鍵合わぬ 鍵合わぬ
鍵合わぬと かえされた

 

かえされた・・・ とは殺されてとのこと。
この童謡が最初に読者に提示される。アガサ・クリスティの作品の場合は、不気味な雰囲気を醸し出して、最後に論理的な謎解きがあるが、「悪魔の手毬唄」の場合、動機やなぜ手鞠歌なのかの原因が曖昧なのが残念。ただし、この作品は非常に映画的で、ビジュアルが伴うと評価が上がる。

そもそも、手鞠歌を文字で読んでもメロディが思いつかないが、それが映画の中で強烈なビジュアルで登場すれば否応なしに不気味さが出てくる。

原作付きの映画化だと、小説が先か映画が先かと懸案になるが、本作は映画を見て小説を読むほうがより理解し、悲しみが増す気がする。冒頭の手まり歌も、ややこしい人間関係も地形の描写も、映像で見たほうがわかりやすい。

何度も映画やドラマになったりして、いろいろな人が金田一耕助を演じているが、石坂浩二が演じているバージョンがいい。監督は市川崑。細かいことは考えずに日本の閉ざされた黒黒した暗部を堪能できる。古い映画だけどミステリーが好きならおすすめ。

本の方に話を戻すと、童謡どおりに次々と起こる連続殺人、複雑な人間関係、詳細な人間描写、ページをめくるのがもどかしくなるくらい面白い。一気に読んで、ナゾを知り深くため息をつくような優れた推理小説。

 

 

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