泡沫で儚い記憶

あなたの幸せが ずっと、ずっと、つづきますように。 小さな砂粒があつまって、 大きな岩になるほどに。 その大きな岩の表面に コケが生えるほどまでに。

【映画】 「繕い裁つ人」 一生物の洋服とプライド

 

三島有紀子監督の「繕い裁つ人」(くつろいたつひと)を観ました。中谷美紀さん主演で彼女の凛とした演技と ちょっと外れている感じが主人公の市江とかぶるようでとても合っていました

 

【あらすじ】

町の仕立て屋「南洋裁店」。祖母が始めたこだわりの洋裁店を受け継いだ2代目の店主・市江。彼女が古びたミシンで作るオーダーメイド服は大人気。しかし職人スタイルを貫くため量産は出来ず、百貨店の営業、藤井からのブランド化の依頼も断り続ける。なじみの客たちは、ここで仕立てた服と共に年を重ね人生を彩る。市江はその人だけの服を繕う日々で十分だったが

 

とても丁寧に作られている作品。丁寧というのはシーンの一つ一つが計算されていて、小道具の見せ方やライディング、演技が徹底して考えぬかれれいるのがわかる作品です。

 


映画『繕い裁つ人』予告編

 

日本映画らしく、はっきりとした起承転結があるわけではなく、穏やかな日常がながれていきます。先代の仕事だけを全うすることだけの市江が自分のデザインで服を作るのがとても素敵でした。

 

また、中谷美紀演じる、市江の服がとてもおしゃれです。女性らしいんだけど、男性に媚びていない感じ。深い海の色の青。あまった生地で作ったストール。写真集があったらほしいぐらいです。

 

洋服は昔、高くて品質が良くなくと言われていてユニクロが、低価格で高品質を打ち出し、手軽におしゃれが楽しめるようになりました。でも1ヶ月で飽きてしまったり流行遅れとなってしまう服は消費されていく欲望と同じです。流行に左右されずずっと着続けることができる服。そういう服にであると人生も豊かになるのかもしれません。

 

「かもめ食堂」が料理映画のスタンダードなら「繕い裁つ人」は洋服映画のスタンダードになるかもしれませんね。「プラダを着た悪魔」はアメリカらしいブランド全開の派手な洋服映画でしたが、「繕い裁つ人」は古い服を手直しして何度も再生させる、日本らしい映画でした。

 

 

繕い裁つ人 コミック 全6巻完結セット (KCデラックス)

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繕い裁つ人 DVD

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今週のお題「映画の夏」